時間も空間も超えて【岡田美術館】
日帰りで箱根へ。
目的は岡田美術館。
小田原からバスで40分ほど揺られる。うねる箱根の山道に軽く車酔いしちゃったのだけど、それも一瞬で吹き飛ぶほどの強風と雲ひとつない快晴。
バスを降りた瞬間に来てよかったと確信した。
岡田美術館は日本や東洋の絵画、焼き物、うるしなどのコレクションが揃っている。
空港並みのセキュリティを抜け、まずは中国や韓国の陶磁器が多数並んでいる。このあたりはもともとあまり興味がなく、きっとめちゃくちゃ価値のある美術品たちが並んでいるのだけど、凄さがあまりわからなくて(私の教養の低さ故)。
ただ黒い壁にガラスのショーケース(とても長いうえに全然反射しない!)、展示方法がとにかく美しかった。展示室全体、その空間に心を奪われ、歩いているだけでドキドキした。
古いものがとても良い状態で保管されているという事は、それまでに多くの人が大切に守り、長い時代を受け継いできたということ。
そしてこういった時代を超えた作品を観るといつも思うのだけど、この作品が生まれた時代が確実にあって、その時にそこに存在した人達がいた。
時間も空間も超えて、その作品を描いている、作っているその瞬間にトリップしたような感覚になる。その刹那を感じるのがとても好き。
今回その陶磁器たちを見つめながら、特にいくつかあった【水差し】はその時代の女性を思わせた。今とは全く違う、でも確実にあったその世界で、その時女性たちは何を感じどう生きていたのだろう。
順路を進み、日本の絵画へ。
これぞ日本美術の花形といった浮世絵や豪華な屏風の数々。次から次へとすごいのが出てくる充実しすぎのフロア。
日本画の好きなところのひとつに金の美しさがある。そして生きているような筆のタッチ。今度は一つ一つの作品にしっかり感動しながら日本の歴史を丁寧に味わう。
他ではなかなか見られない春画もまじまじと鑑賞。そしてクライマックスに東山魁夷。完璧!
美術品ももちろん素晴らしいのだけど、敷地内の庭園や、お食事処、風神雷神の大壁画を観ながら入れる足湯(もちろん温泉)もまた岡田美術館の大きな魅力。
鑑賞後は庭園を散歩し、温かい豆アジ天うどんをいただく。
最初から最後まで静寂な時間で、気持ちが整っていくのを感じた。
本当に本当に行ってよかった。
ところで岡田さんて誰なんだろうと思って帰りの電車で調べたら、日本のカジノ王だと!カジノ王の衝撃と静寂の余韻がぶつかるなんだか面白い帰り道。