少年と生きてる。

脱皮するシンママ親子

風【辻井伸行】

うちの近くに、辻井伸行さんが来るというもんだから急いでチケットを取った。

盲目のピアニストという事で有名になったこの方、幅広くファンがいらっしゃり、人気のチケットはどうやら最後の1枚だったようで、「超ラッキー」であった。ホントは息子と行きたかったのだけど、1枚しか取れなかったのだから仕方ない。内緒で行き、事後報告したらズルイと怒られた。

 

それで生で聞いた感想は

 

「音がでかい。」

まずはなんだそのド素人みたいな感想は、と突っ込みたい。

2階席の後ろの方だったけれども、ピアニッシモの繊細さも、フォルテで鳴らす速いパッセージも、すべてがクリアに、CDで聴いていたあの華やかな音色のまま届いてきた。

音数が多いとパワープレイになってしまったりして音が飛んでこず、遠くで聴いている印象になるピアニストもいるけど、辻井さんの音はどこまでも伸びてきた。

世界の大きなホールやコンチェルトでもぜんぜん負けないんだろうな。

 

そして世知辛いとか、人を恨むとか、仕事辞めたいとか、愛しすぎてとか、あの人がどうとか、どや?とか、そういう気持ちに溺れることはないのかなってくらい、暗さがどこにも見当たらなくて。まるで天使。

 

音のサイズ、明るくて美しい音色、だれにも阿らないストレートな表現。

どれも爽快だった。

感動したというより、なんかすごかったなぁ、と胸がすく思いで帰宅。

 

その日は、大胆に晩御飯を作った。